看護師の給料の水準は適正?労働条件、労働環境、危険度、責任の重さから分析!

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以前の記事で時給の比較をした。そして看護師の労働環境の特徴を幾つかあげることで、どれだけ給料が安いか、もっと高くしてしかるべきなんじゃないか、という説を独断で述べてきた。

今回は給与の全体の比較から、さらなる着眼点の指摘もしてみたい。

給与の比較をしてみよう

今回も『求人ボックス』の給料ナビを参考にさせていただいた。平均初任給があまり変わらない職業にどんなものがあるか、参考まで。皆さん得意なこと、特技を活かした職業だ。

平均初任給 平均年収
看護師 21万円 360万円
美容師 22万円 361万円
プログラマー 21万円 341万円
システムエンジニア 21万円 516万円
コールセンター 21万円 376万円

条件の違いは?

さて、時給を比較した記事でも書いた看護師特有の労働環境、条件について改めて簡単にまとめてみたい。

①束縛度合(場所、時間)

残業から抜け出しづらかったり、強制的に事実上の時間外労働、サービス残業をさせられやすいのも看護師の仕事の特徴だ。別記事『看護師の労働環境、ブラックが通常よ!』もご参照願いたい。

②感染の危険

採血、導尿等々、体液を扱う仕事も多く、常に感染の危険性と隣り合わせの看護師の仕事。感染症だとわかっている人と接するときは細心の注意が必要だし、感染症だとわかっていないけど感染症の人とも接したり採血したりしなくてはいけない。コロナ禍以前から、看護師はもともと常に感染のリスクに侵されている。

③汚物物の扱い

ベッド上、トイレ、それ以外の場所、どこでも排泄物の処理をする。何ヶ月もお風呂に入ってない人、身体中吐物、汚物、血液などで汚染されてる人、どんな人でも入院したら清潔ケアをする。ずっと看護師の仕事しかしていない看護師さん達自身こそ、それが当たり前のことになっているのでは?サラリーマン時代の方が長い私にしてみたら、全然当たり前のことじゃない。

上記①〜③についてはもう少し詳しくこちらで追求!

④肉体労働

朝から晩まで歩行、小走りであちこち移動する。緊急時には階段で何階も上や下に全力疾走することもある。人の体を持ち上げたり、ずらしたり、持ち上げたり。それがどんな体格の人でも、自分の倍はありそうな人でも。毎日、何人も何人も。カルテ入力時さえ立ったままでいたりする。

⑤感情労働

看護師の感情労働の度合いや具合についてはなかなか一言でまとめられない辛さがある。自分の感情を押し殺し、その時一番求められ適していると考えられる態度や発言をしなければならない。このせいで心を患ってしまう看護師さんも少なからずいる。

上記④、⑤についてはもう少し詳しくこちらで追求!

⑥看護師の給与最大のトリック。夜勤、休日、不安定なシフト!

一般的な他の職業との違いや特徴などを取り上げてみた。だが、看護師の給与は騙されてる?ってくらい低い、と私は思うのだ。ボランティアじゃないんだから!と。その理由の一つは、夜勤トリックだ!

看護師には夜勤がある。夜勤をやると手当てがもらえる。夜勤手当がつくと、少し他の職業より月給が高く見える時がある。つらい夜勤をやってるんだから、その分高いのは当たり前だ。それにしても日勤をやったり、夜勤をやったり、休日出勤をしたり、全然生活リズムが安定しない職業。そんなこと長年続けてたら体を壊しても全くおかしくない。

夜勤は寝てるんでしょ?とお思いの方もいるだろう。是非どこかのTV局で「密着、看護師の夜勤業務!」かなんかをやってほしい。休む時間はあるが眠ってる暇がないほどしょっちゅう巡視をする。何か処置が必要なら少ない人数でどんなことでもこなし対応しなければならない。どこかで緊急事態があれば、応援にも駆けつけながら、自分の受け持ちエリアの仕事もしっかり終わらせる。仲間が少ない分、また夜は不穏や転倒事故が起こりやすい状況でもあり、それなりのプレッシャーと危機感を持って臨む。結局全く休めない日もあるが、そこは誰もフォローしてくれない。上司に言ったって特別な休みがもらえるわけでも、特別な手当がもらえるわけでもない。

元サラリーマンの私としては、これどんな罰ゲーム?と言いたくなる。特に高くもない給料で、看護師さん達なんでそんなに夜勤、休日出勤、不安定なシフトを頑張れるんだろう。もちろん誰かがやらなければならない重要な仕事だ。やりがいもあるかもしれない。でもそれにしては、、、この給与水準は低い。

⑦看護師は訴えられたら有罪になりうる

最近の判例では、看護師が医療過誤として訴えられ、実際に罪を負わなければならない事象が起こっている。もちろん、人を殺そうとして故意に行ったこと、放置したら問題が起こると知って何も対応しなかったことは未必の故意に当たるだろうから犯罪だ。でもそんな異常な犯罪者の例はここでは語らない。今は一般的な看護師の仕事について述べている。

適切な処置をしようとしている、ミスなくやろうとしている、そんな毎日の中で、ダブルチェックをしなかった、何かの確認を怠った、その結果医療過誤がおき、患者さんが被害を被った、あるいは命を落としたとして訴えられる例が度々起こっている。訴えている患者さん側を非難しているわけではない。

  • 看護師の能力ならできなければいけなかったことだ。
  • 事故が起きないようチェックをしなければならない義務があった。
  • それだけ責任の重い仕事だと気を引き締めてやらなければいけなかった。
  • 国家資格保持者なんだから。

ということで責任を負う事になり、看護師免許を剥奪される。緊急事態で全力を尽くした結果、ダブルチェックする相手もおらず、ボンベの種類を間違えてしまって有罪なんて例もあった。故意に起こしてしまったわけではなくても、ミスが事実なら有罪になる。

犯罪ではなく、通常作業をしていて起こったミスが個人的に有罪になる会社なんてありますか?

国家資格保持者として責任は重く、組織ではなく個人的に有罪にしていかざるを得ない、という流れなのだろう。それならば、給与のほうもその重い責任に見合ったものでなければならないと、私は思うのだ。

重ねて述べるが、訴えている側の方を否定しているのではない。

責任も権限も重いからこそ、医師の給与は高いのでは?夜勤で何事もなければ医師は一晩控え室にいるだけでいい。何か急変などがあって呼ばれ、対応に問題があれば責任を追及されることもあるだろう。一方で看護師は問題があってもなくても定期的に巡視し、異常を見つけられなかったり、適切な対応をしていなければ責任を追及される可能性がある。

ある病院に勤めている看護師の友人が以前夜勤に入った際、当直の医師に言われたそうだ。「オレ、一晩30万のオトコなんだ!」と。つまりこれは、一晩で当直手当てを30万円もらえる、ということをオレの価値としてわざわざ伝えてきたという事件だ(まあ夜中も心身削って働いてる看護師にそういうこと言っちゃうんだから、特に変わった方なんだろうとは思うが)。

まとめ

これまで3回に渡り、他の仕事と違う特徴や、業務の厳しさについて述べてきた。

  1. 束縛度合い
  2. 感染の危険
  3. 汚染物の扱い
  4. 肉体労働
  5. 感情労働
  6. 夜勤をはじめとする不安定なシフト
  7. 有罪になりうる

世間も政府も病院も「看護師さんは優しいから、ボランティア精神あるよね。この水準なら問題ないでしょ。充分でしょ!」という意識が根底にあるんじゃないだろうか。

しかし繰り返し言いたい。私は自分が看護師だから、給料もっと上げるべきだー!あげてくれー!という意味で主張しているわけではない(まあそういう気持ちも1割くらいはあるかな?)。これまで一般企業でサラリーマンとして勤めてきた年数の方がずっと長い私。看護師になってみて、その労働環境の悪さ、危険さ、つらさ、大変さを思い知った。それと同時に「この状況でこんな薄給!?!?なんで皆文句言わないの?!?」と驚かずにはいられなかったのだ。多くの看護師が職業人生全てを看護師として歩んできている。こんな状況が当たり前になってしまっている方もいるのかもしれない。でも看護師ってボランティアじゃない。体も心も毎日すり減らしてる。体からも心からも血を流していることだってある。もっと給与水準高くていいんじゃないかと心底思う。誰か然るべき方にこの声が届いてほしい!そんな一心で今このテーマを書いている。

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