看護師の給与がいいなんてマボロシ〜!(後編)適正な金額を提示してください!

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「看護師さんはいいねー、職に困らないしお給料もいいし!」って言葉、看護師の方はよく耳にするのではないだろうか。しかし私は元サラリーマン。客観的に看護師という職を見てみて思う。その言葉は合ってるようで合ってない。看護師になってからずっと違和感を持ってきた、看護師の給与について、ついに言及していきたい。

ということで、今回は時給で比較。

前回の記事では、求人だけはいつもあることや時給の比較について述べてきた。

①束縛度合(場所、時間)
②感染の危険
③汚物
④肉体労働
⑤感情労働

今回は前回の①、②、③につづき、上記リストの④と⑤について説明していきたい。

④肉体労働

肉体労働と聞いて想像する職業っていうと、土木作業の方、警備員の方なんかが挙げられるだろう。「体を使って報酬を得る労働形態」というのが肉体労働の定義。それなら看護師も完全に肉体労働に当てはまる。

朝から晩まで歩いて、状況によっては小走りであちこち移動する。緊急時にはエレベーターを使用せず、階段で何階も上や下に全力疾走することもある。

人の体を持ち上げたりローリングしたりずらしたりしながらオムツ交換をする。寝返りができなければ一日何度も体の向きを変える。着替えもする。持ち上げて椅子や車椅子に乗せる。自分の倍はありそうな体格の人でも、片足だけで自分の体重くらいある相手でも、どんな体格であっても平等に皆やらなくてはならない。

しかも、何人も何人も。

ベッド、床頭台、点滴の乗ったカート、食事のワゴンなど身の丈を優に超える大きなものを押したり引いたりしながら運んだりもする。

唯一カルテを入力する際は腰掛けることもある。しかしそのやることの多さ、いつなんどきナースコールで呼ばれるかわからない状況などから、カルテ入力時も立ったままでいたりする。

理学療法士も体力勝負なところがある。PTさんについてもそこんとこもう少し加味してあげてもいいじゃないかな、と思う。そして介護士さん、看護助手さんしかり。

⑤感情労働

感情労働とは、相手がどうであるかに関わらず、自分の感情を押し殺し、その時一番求められ適していると考えられる態度や発言をしなければならない労働の種類のこと。看護師をやってみて自分自身が一番辛いと思うところでもある。

そしてこのせいで心を患ってしまう看護師さんがいる、という事実があるのも、私が広く皆さんに知ってほしいことの一つだ。

いつもブチ切れている。怒鳴ってくる。やってあげたことに必ず毎回イヤミを言ってくる。暴力を振るう。脅迫してくる。セクハラしてくる。何分かごとにナースコールで呼び、ルームサービスのように使おうとする。何度言ってもルールを守らない。静かにしてくれない。特定の看護師にだけ意地悪し、他の看護師に優しく接する。「看護師の言うことなんて聞くか。医者を呼べ。」という。家族に電話し「看護師に暴力を振るわれた。看護師に意地悪をされた」と伝え、家族が怒鳴り込んでくる。

実際あったことでパッと思いつくだけでもこんなにあった。サラリーマンの皆さん「そういう嫌な人、嫌な顧客は仕事してりゃいるよー」とお思いのことでしょう。私も保険会社勤務時代には怒鳴り込みにくる契約者や、脅迫してくる修理会社とか出会った記憶がある。

でも時々じゃなくて、いつも常にこんな感じの人々が何人かいて、入院してるから朝から晩まで近くで仕事してなきゃいけない。呼ばれたら、そして必要があれば、自分から接しにいかなくてはならない。

患者さんが嫌な態度を取るのには、色々原因がある。すごく苦しい、すごく痛い、話を聞いてほしい、寂しい、精神的にまいっている。そう色々原因はあるだろうし、それを考えて行動しなければならないのも看護師の仕事だ。

でも、原因がわかったら楽なわけじゃない、平気なわけじゃない。ひどいこと言われれば言われるほど、どんどん感情を押し殺して、自分を押し潰していってるだけ。そういうのって、体が疲れた時と違って一晩寝たら治るものじゃない。何なら食べられなくなるし眠れなくなる。何日も何日も引きずったり、いつの間にか変なモードに入って、メランコリーになっちゃう。

もうこのことだけでも、時給で言ったらさらにプラス1000円くらいしたいくらい!

まとめ

求人はある。でも実際に見合ったお給料をもらえていない、というのが看護師になってみて、その業務の実態を把握してみて今一番感じることだ。

「看護師の人手が慢性的に足りない」「募集しても集まらない」「すぐ辞めてしまって安定しない」なんて言葉を聞くことがある。求人してる側の方に言いたい。まず第一に、仕事の内容に見合ったお給料を提示してますか?

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