実習が始まると、どの先生が指導教諭になるかの発表に一喜一憂することになる。毎回脱落者がいる、毎回誰かが号泣しながら実習場所から帰ってくる、そんな先生もいる。さすがに毎回って、それはつまりその先生になんか問題あるんじゃないかと思いそうなもんだが、特に学校から事実関係の洗い出しもされない。洗い出しなんかされてしまったらその事実から目を逸らすことはできない、何らかの対応を迫られる。結局、そんな面倒なことはしないのが、看護学校、ということになるのだろうか。
ここで思い出すのがまたまた「母性」の実習だ。この実習、つまり色々と大変だったのだ。どんな風に大変だったかは、過去の記事ご参照。
ついに私はどんな理不尽な扱いにも従順な犬キャラを捨て(はじめからそんなキャラじゃないか。)、「グルルルル、、、ガウッ!」と吠え噛み付いてしまうことになる。
グループメンバーのMが病棟実習で困っていた。やることなすこと、実習指導者の看護師にけなされる。もう何か誤解を受けているのだとしか思えないほど。誤解ならちゃんと解こうと意を決して説明しても、全然聞いてくれない状況。一緒に行動することになっていたグループメンバーTも「見てられない」ほどのかわいそうさだったという。
1日の実習が終わると、私たちは実習生待機場所として用意されている小さな部屋に集合する。人数が多いので完全に鮨詰め状態になる。この部屋ではグループに別れ、指導教諭も一緒に1日の振り返りをする。ダメ出しされたりもする。絞られたりもする。そして怒られたりもする。
Mは耐えられず指導教諭の先生に相談をした。自分の身に起こっていることを説明した。つらすぎて説明する声も震えている。
先生はピシャリと言った。
「で、それが何なの?無駄な時間を使わないで。」
「はぁ?!」
私は看護学校のヒエラルキーや先生の権力のこともよく考えず、思わず声を出していた。
「これは無駄な時間なんですか?どう聞いても、Mちゃんは現場の看護師につらくあたられてうまく実習を進められず困っていますよね?先生に助けを求めていますよね?」
それに対し、先生が言った言葉が薄っぺらい。
「えっそうなの?私はその場にいたわけじゃないからわからなくってごめんなさい」
Mが泣き出した。正確には「『何があっても絶対泣くまい!』と心に決めていたから、全身の筋肉で涙を堪えているのに、目からは勝手に涙がボロボロ出てくる」という具合だ。
無駄に正義感が強い私、一回言い出してしまうと、もうあまり躊躇せず言葉が出てくる。
「先生、私はMちゃん、Tちゃんチームとは別行動をしてました。なので、すいませんが、私も先生と同じで今初めて話を聞きました。でも何が起こっているのか、先生に力を貸して欲しいと思って勇気を出して相談したということは、私にははっきりとわかりました。先生にはわからなかったんですか?」
しっかり者のグループメンバーAも「私も全く同じように思いました!」と思わず私を援護してしまっていた。
全ての学生を何十年にも渡り服従させてきたのだ。誰も逆らわず泣きながらも従ってきたのだろう。しかし突然の反論に面食らった様子で、何も言い返してはこなかった。
それが仕事とばかりに何かというと重箱のすみを突くような注意ややり直しをさせてきた教員だった。しかし次の日以降、あまり積極的に私達とコミュニケーションを取らなくなった。
この教員、我々の次のグループの実習中に登校拒否をし、来なくなった。
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