恐ろしき看護実習指導者(後編)〜人事に脆弱な組織、病院〜

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 一応私には社会人経験がそれなりにある。僭越ながらある程度の人数をまとめていたこともある。1場所目の会社は5年程度、2場所目はかなり長くいたので人事異動があり、親会社の中にある部署で働いたことも、そして出向して別会社にいたこともある。「会社」ってだけなら4社の組織内で何年かに渡って働いた経験がある。

 でも今まで職場でこの副指導者のような人は見たことがなく始めはただただ驚いた。普通に人と挨拶も話もできないのだ。下とみたら明らかにパワハラと言える態度を取り実習をさせてくれない。

 もしかしたら、産科では実は立派に仕事をこなす方で、看護学生の面倒なんて見たくなかったってだけなのかもしれない。しかし世の中やりたくない仕事なんてごまんとあるし、その内容が嫌だからってやらないでは済ませられない。

 その副指導者のせいで学生が困っていることは、他の看護師達から見ても明らかだった。でも誰も何も言わなかった。

 その看護師を副指導者に任命したはずの病院管理職も病院組織も全く介入してこなかった。

 看護学生をフォローすべき学校の産科実習担当教員も全く動かなかった。

 事実上組織ぐるみで、そして看護学校も一緒になって学生にパワハラしているのと同じ状況だった。私たちには、困っても、迷っても、頼れる人は誰もいなかった。看護教員、ほかの看護師、師長や偉い人が、だだっ広い病院の片隅で肩寄せあってガタガタ震え困っている私達の様子をじっと見ていた。

 この実習を通して、そして就職した今も感じることがある。病院組織って、組織としてすごく未熟なところがあると思う。普段の危機管理、事故を防ぐための方策の打ち出し方などは、流石に小慣れていて動きも早い。

 でもこと人事面となると、その反応は鈍く、すごーく無頓着だ。自分たちだって我慢してきたんだから、それくらい当たり前だ、普通のことだ、と思っているんだろうか。

 一般社会ではするべき仕事を行わない人、協力できない人、人に迷惑をかける人、執拗ないじめをする人、何かとすぐ感情的になる人などは、注意を受けたり、意図的に別の部署などに移動することもある。

 上に立つ人、管理職などは部下のそういうところもよく見ていなくてはならず、相談を受けることもある。仕事の一つとしてね。そしてそういうことが出来る人が管理職になる。

 ここまで「明らかに適任ではない」人物を看護学生の指導担当にするなんて、人事上の判断の誤りだろう。百歩譲って、この人事が病院として何か意図があった可能性はゼロではないが、そこに問題が生じたならすぐに対応するのが正常な組織というものではないだろうか。

 いや「問題だ」と思っていないから解決の必要性を感じないのかもしれない。

 一朝一夕では解決し難い、深い沼のような問題の深刻さを感じた。

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