伝統的な苦しい労働環境を打開すべく、そのおかしいところに気付いたり、精も根も尽き果てるまで頑張りすぎない様にするなどの教育は、看護師の卵達にとっても、現役看護師さん達にとっても、今すごく必要なことなのではないか、と前回までに述べてきた。
しかし看護学校の実習は、そういうことを教えてくれる場所ではない。残念!はっきり言って正反対のものだ。
これまでは社会人として当然の様に会社に対して希望や権利を主張してきた。だって主張したっていい、そう主張することの正当性や事情を理路整然と説明すればいいんだから。なるほど、と思ってもらえたら目上の人でも年長者でも理解を示してくれる。でもそんな1+1=2、みたいに思っていた当たり前のことが、ここでは全く通用しない。
何か権利を訴えれば、逆らっている、やる気がない、ナマイキなどと見なされ、「空気の読めない変な人だねー」となぜか周りの医療従事者からも敬遠されたりする。看護学校の場合はおかしいところを正直に指摘しすぎてあまり先生の気に障ると、単位を取らせないなどの方法で追い詰められ、学校を辞めさせられるのではないかという恐怖さえ感じる。くわばらくわばら。
ある意味、看護実習では学生さん達のために本当の現場を想定した環境作りに余念がない。実習先からも先生からも酷い扱いをされることもある。そして当然のように毎日死ぬほど振り返り、事前準備、文書作成があって何日もまともに睡眠が取れない。
そんなの朝になってから少しずつやるとか、適度に手を抜けばいいんじゃない?本当にないと困るものだけ選択して作成すれば?なんてお思いの方もおられるだろう。そうしたいのはヤマヤマなんですが、どうにもそういう訳にもいかないのデス。
やらなきゃいけない内容を終えているかどうかは、朝チェックされる。しかも結構綿密にチェックされる。先生に一度目をつけられたりすると、その学生は「コイツはよく見てやらなきゃダメなやつだ」というレッテルを貼られ、一文字一文字いやに細かーいところまでじっくーり見られるようになり、重箱のすみをつっつきまくられるという話はよくあることだ。
だから徹夜でもその膨大な書類作成を手を抜くことなく終わらせなくてはいけないのだ。すぐ終わるテスト期間だけの話ならまだわかる。3週間を何セットも繰り返していくのだが、それに耐えられた学生だけが卒業=「国試を受ける権利」という栄冠を手にすることができる。
1年余りに渡るブラック企業の社員さながらの苦行、あなたは耐えられる?
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